Omarchy 4.5が公開、ARM64とフローティングウィンドウに対応

Ruby on Railsの開発者であるDavid Heinemeier Hansson氏が主導するLinuxディストリビューション「Omarchy 4.5」が公開された。開発資金として36億円超を集めたプロジェクトで、成果物はMITライセンスで配布されている。ISOイメージのサイズは6.5GB(x86_64、ARM64)。

Omarchy 4.5が公開、ARM64とフローティングウィンドウに対応
写真: Claude

Arch Linuxのパッケージを基盤とし、デスクトップ環境には合成型ウィンドウマネージャーのHyprlandを採用している。開発の指針は「Omakase Computing」で、多くのユーザーは使い始めの段階で自分に何が必要か分からないため、迷いながら選ぶよりも、信頼できる人物の知見と審美眼で選ばれたツール群を使うほうがよいという考え方だ。単なるパッケージの詰め合わせではなく、美しさと作業効率の両面から選んだアプリを組み合わせた環境を提供する。Hansson氏は、高い生産性にはモチベーションが欠かせず、美しい環境もその一部だと考えている。

WindowsやmacOSに似せることも、平均的なユーザー像に合わせることも目指していない。収録されるのは、Neovim、Chromium、LibreOffice、Spotify、Omawrite、Foot、Zoomなど、開発者本人が日常的に使うアプリのみだ。Neovimでのコーディング、ターミナル中心の操作、タイル型のウィンドウ配置は多くの人に馴染みが薄いものの、慣れた環境から一歩踏み出して新しい手法を身につければ、作業効率の向上が見込めるとしている。

バージョン4.5ではハードウェア対応が広がった。新たにARM64アーキテクチャに対応し、専用インストーラーによってApple MacBook M1、M2、M3、Neoにも導入できる。ARM64向けの標準ビルドは、NVIDIA DGX Sparkを搭載するワークステーションや、NVIDIA RTX Spark(N1X)を搭載するDell XPS 16 Creator EditionおよびASUS ProArt P14などのノートPCをサポートする。Qualcomm Snapdragon搭載機への対応は開発が進められている。

言語と接続まわりも強化された。50言語と5種類の入力方式に対応し、設定ツールのSetup > Language、またはコマンドomarchy language 言語名で切り替えられる。Webブラウザー上の認証が必要なキャプティブポータル型の無線ネットワークにも対応した。該当するネットワークは自動的に検出され、ログイン用の専用インジケーターが表示される。

WindowsやmacOSからの移行でタイル型の配置に戸惑うユーザーに向けて、従来型のフローティングウィンドウとタスクバーが追加された。タスクバーには固定したショートカット、実行中のアプリ、インストール済みプログラムを開くボタンが並ぶ。Super + Lでタイル型、スクロール型、フローティングの各レイアウトをすばやく切り替えられ、Super + Mでウィンドウを最小化できる。ウィンドウはコンテキストメニューからの設定やマウスでのドラッグにも対応する。

モニターごとに独立した仮想デスクトップのセットを割り当てられるようになった。仮想デスクトップの切り替えはSuper + 1-0、モニター間の移動はSuper + 方向キーで行う。外観をまとめて設定する新メニューも加わり、テーマ、壁紙、パネルやウィンドウの設定、ウィンドウ背景の透明度を調整できる。アニメーションを無効にするモードも追加され、仮想マシン上ではこれが初期状態で有効になる。

新しいテーマとして、緑を基調としたJade HorseとStarshipが加わった。動画をデスクトップの壁紙に使えるようになったほか、テーマ側でログイン時やユーザー切り替え時に短いウェルカム動画を再生することもできる。ブートメニューは初期状態で非表示となり、ブートローダーLimineの待ち時間は1秒に短縮された(/boot/limine.confで変更可能)。起動中に任意のキーを押すとメニューが表示される。

通知システムは、送信元ごとのグループ化、同じ内容の通知の折りたたみ、現在のテーマに合わせたデザイン、リンクや認証コード、クイックアクション用ボタンの表示に対応した。

インストールも大幅に高速化されている。新しいインストーラー「F1」は、構築済みのシステムイメージを展開し、その上にデバイス固有のパッケージだけを追加する。パッケージを一つずつコピーしてインストールしていた従来の方式と異なり、すぐに使える状態のシステムがほぼ瞬時に導入され、AMD製CPU搭載ノートPCでのテストでは所要時間はわずか7秒だった。

起動処理の最適化により、システムの起動と終了が速くなり、ホットキーでメニューやパネルを開く際の遅延も解消された。Omarchyのメニュー項目の確認処理は200msから16msに短縮され、ターミナルエミュレーターの表示も高速化した。デスクトップは、状態を定期的に確認するポーリングを使わず、イベントで処理する方式に切り替えられている。

標準アプリも一新された。新たに、Markdown形式でプレゼンテーションを作成し、スライドをビジュアルモードで編集してPDFやPPT(PowerPoint)に書き出せるHype、PDFの閲覧・署名・編集を行うSigned、ディスク使用量を分析するDisktree、カメラ映像を録画するMonologue、SSH経由でリモートデスクトップに接続するGliffが標準で用意される。一方、OBS Studio、Kdenlive、Lazydockerは基本構成から外された。動画の録画やトリミングにはMonologueとOmacut、Dockerコンテナの管理にはDockerとDocker Composeが提案されている。

Install > Service > Microsoftのメニューから、Microsoft 365のWebアプリ(Outlook、Word、Excel、PowerPoint、Teams、OneDrive)をすばやく導入できるようになった。各アプリは独立したウィンドウで開き、従来のプログラムと同じようにメニューのショートカットから起動する。

音声認識エンジンSuperwhisperが標準で有効になり、キーボードの代わりに音声でテキストを入力できる。音声入力はAlt + Space、または右Altの長押しで起動する。認識にはローカルで動作するモデルも外部のクラウドサービスも使えるが、クラウドで無料なのは最初の1万語までとなる。オプションとしてVoxtypeのサポートも残されている。

AIエージェントの管理パネルは、対応プロバイダーが6から23に増えた。Cursor、OpenCode、GitHub Copilot、Antigravity、Hermes、Amp、Kiro、Devin、Qwen、DeepSeek、OpenRouter、Ollamaなどが含まれる。トークン数や利用上限の統計も表示され、Super + ~を押すと、Quakeコンソール風のポップアップウィンドウでAIエージェントを操作できる。

AIエージェントとしてKimiとOriが追加され、Gemini CLIはGoogle Antigravityに置き換えられた。ターミナルでのAIエージェント操作が合わないユーザー向けには、GUIアプリのClaudeとAmpが用意されている。