MPV 0.42、HTTP/3対応とディスクメニューを追加
オープンソースの動画プレーヤーMPVの新バージョン、MPV 0.42が2026年11月5日に公開された。開発期間は1年近くに及び、ネットワーク機能の刷新、光ディスク対応の拡充、映像・音声出力の改善などが盛り込まれている。

ネットワーク機能では、libcurlを利用した新しいバックエンドを採用した。HTTP/2とHTTP/3に対応し、確立済みの接続を再利用できる。あわせて、TLS証明書の検証(--tls-verify)が初期設定で有効となった。
ディスク関連では、DVD-Video、Blu-ray HDMV、BD-Jのメニュー操作に対応した。DVD-Audioの再生にも対応し、DVD-Video、DVD-Audio、Blu-rayのisoイメージを直接再生することも可能になった。
映像と音声の面では、出力モジュールvo_gpu_nextがDolby Vision Profile 7の拡張レイヤーをサポートした。--target-trc=scrgbオプションを使えばscRGB形式で出力でき、Linux向けビルドではHDRの色空間への対応も強化されている。DSDをPCM経由で伝送するDoP用には--audio-spdif=dsdオプションが加わった。時間の経過とともに生じる音声と映像フレームのずれを補正するコードも書き直されている。フレームレート変換には、AMD Frame Rate Conversionのフィルター--vf=amf_frcを利用できる。
操作画面と字幕も拡充された。右クリックで表示するコンテキストメニューは、設定ファイルmenu.confで独自に定義できる。内蔵GUIのOSC(On Screen Controller)にはFluentアイコンを使ったフローティングボタンの表示モードが追加され、--script-opts=osc-layout=floatingで有効にできる。外部のサムネイル生成ツールをOSCと連携させるためのAPIも用意された。さらに、subrandrライブラリの採用により、YouTubeで使われているSRV3形式の字幕にも対応した。
グラフィックス関連では、Waylandプロトコルのセッション管理と色管理に関する拡張をサポートした。libmpvにはD3D11を使った描画APIが追加されている。テキスト端末での映像表示は、sixel、kitty、tctの各拡張を利用する形に見直された。動作に必要なバージョンも引き上げられ、今後はFFmpeg 6.1以降、libplacebo 7.387以降が必要となる。
MPVは2013年にMPlayer2のコードベースから分岐して誕生したプロジェクトで、MPlayerとの互換性の維持にこだわらず、新機能の開発を重視している。コードはLGPLv2.1+で配布されているが、一部はGPLv2のまま残っている。LGPLへの移行はほぼ完了しており、残るGPLコードを無効にしたい場合は--enable-lgplオプションを使用できる。